[TeX] mleftright パッケージと LaTeX 超入門の読書感想文
2020年12月14日 (月) 17:17
この記事は TeX & LaTeX Advent Calendar 2020 の 14 日目の記事です。 13 日目は trueroad さんの PDF/A に電子署名してみる でした。 15 日目は domperor さん です。
さて、予定では mleftright パッケージを紹介することになってました。 mleftright パッケージとは、\left \right でカッコを自動で伸縮させたときに、 両側のアキが普通のカッコのときと異なってしまうので、それを解消するパッケージです。
mleftrightパッケージの \mleft/\mright は
— 某ZR(ざんねん🙃) (@zr_tex8r) December 18, 2019
「左右の空き状態を単なる括弧で囲った場合と*全く同じ*にする」
ことを目的としているわけだけど、実は単にグループで囲った場合も効果はほとんど同じで、異なるのは
「前に大型演算子がある場合」
だけ、ということなんだろう。#TeX pic.twitter.com/7gkgi3SIII
が、すでにこのブログで紹介してました。
ですので、mleftright パッケージの紹介は、ブログ記事の再掲だけで済ませることにします。
それで終わるのは申し訳ないので、読書感想文を書きます。
LaTeX 超入門購入しました。 pic.twitter.com/qw9anHCZvG
— ひとみえっち (@CareleSmith9) December 14, 2020
中身を完全には読んでいませんが、目次を見て、中身を流し読みした感想を述べます。
①内容がかなりコンパクトに纏まっている。 日本語 TeX の解説書になりうるもので、現在でも入手しやすいものは、 以前は美文書一択だったが、美文書は網羅的な解説で、TeX を始めたばかりの人間には情報量が多すぎだと思われる。 特に、美文書の 7 章以降は、TeX を始めたばかりの人には基本的にまだ不要な知識と、 必要な知識が入り混じっているが、超入門には必要な知識がまとまっており、 必要な情報にアクセスしやすい。
②有名パッケージを LaTeX の機能と同列に紹介している。 例えば、美文書では hyperref パッケージの紹介はわずか 2 ページであるが、 超入門ではかなりのページ数を割いて説明している。 これに限らず、美文書は外部パッケージをなるべく利用しないようなやり方を説明しがちな節があるが、 超入門では外部パッケージを積極的に利用して解説している。 どちらの立場が良いかは諸説あるが、初心者が変なトリックを使う必要はないので、 私としては様々なパッケージを紹介するやり方のほうが初心者に嬉しいと考える。 LaTeX を相当使ってる人でも新しいパッケージを見つけることがあるしね。
③紙面の都合か、導入が急ぎすぎている。 超入門 1 から 3 章は、怒涛の情報量なので初心者には厳しいように感じる。 美文書 1 から 3 章を併読するか、知っている人の助けを借りるかしなければ、 理解に困難を伴うように思われる。
といった感じです。 ということで、総評としては、研究室で LaTeX を使わされた人が、より使いこなせるようになるという目的なら、 とても良い本。一方で、全くの初心者が一から勉強するには、導入部分に難があるかな、といった感じです。 結局美文書からは逃れられない、という結論になりそう。